エッセー

冬のいいところ

年の瀬が近づくにつれ一層寒さを増す今日この頃。

私はどちらかと言うと夏よりも冬の方が好きなのだが、それは一体なぜだろうと疑問に思い考えてみた。

色々思いつく事はあるが、すぐに思いついた事がある。

凛とした空気感だ。

時間で言えば早朝か午前中の静かな時間帯が良い。もちろん他の時間帯であってもいいが、騒がしくない時間帯の方が望ましい。

そして雪。雪が積もっていたり、降ったりしているとなお良い。

あとは寒さ。寒いほどに感じやすい。

しんとした時に感じる張り詰めたように澄み切った凛とした空気感。これが何よりも冬の醍醐味であろう。

それともう一つ大きな魅力がある。冬はどこか寂しげで少しもの悲しく感じさせるところも見過ごせない。

秋の夕暮れに触れた時に感じるなんとも言えない寂しく不安な気持ちとはまた違う、どこか緩やかで穏やかな寂しさ。

(もちろん秋のそれも魅力的であるが、やや刺激が強く感じる。時に暴力的なほどに。

おそらく夏からの変化の差によるものだと思う。冬の方が秋を挟む分、やさしく感じるのだろう。)

一見するとそれは冬の欠点なようだが、これがなかなかどうして、心を落ち着かせる心地よさをもたらしてくれる。

春から夏にかけて盛り上がっていった気持ちを落ち着かせるからだろう。

春になり桜が咲き、生き物は長い冬眠から目覚める。

夏になるにつれ緑が生い茂り、虫たちは鳴き愛を叫ぶ。

春から夏にかけて次第に気分は上がっていき、気温と一緒に気持ちも上がっていく。

秋になり葉は赤や黄色に染まり、生き物たちは冬に備える。

冬になり木々は葉を落とし、生き物は冬眠し春を待つ。

秋から冬を通して気持ちを落ち着かせ、やがて来る春に備える。

どの季節を好むかは人それぞれだが、こう考えてみると自分が冬を好む理由がわかった気がする。みなさんはどうだろうか。

少し理屈っぽくなってしまったが、もっとわかりやすい魅力が冬にはある。

クリスマス、年末年始といった行事だ。

クリスマスは子供たちにとっては特別だろう。プレゼントをもらいケーキを食べる。良いイベントだ。

それが終わるともう、すぐにお正月だ。

年末には大掃除を終わらせてしめ縄、鏡餅といった飾り付けをしよう。

正月には雑煮、おせちを食べてお屠蘇を少し頂こう。初詣に行くのも良い。

正月気分も味わえるし、儀式的な効果も得られて一石二鳥だ。やらない手はない。

小難しい事は考えずに楽しいんでやろう。

それから雪。

雪が降り積もっても大人になればそう純粋ではいられない。交通機関が麻痺したりと弊害もあるだろう。

しかし、それでもやはり雪景色は美しい。格別だ。

深々と降り続ける雪は色々なものを浄化してくれている気がする。

2月になれば節分がある。豆を蒔き年の数だけ豆を食べよう。

恵方巻きもある。好きな方で良い。せっかくだから楽しもう。

そうこうしているうちにもう春がやってくる。

冬が好きな人もそうでない人もどうぞ楽しんで冬を過ごされますよう。